「元請も責任を問われる!? 建設業の社会保険未加入リスクとは」

建設業界では、社会保険の未加入が深刻なリスクを招くことがあります。特に元請・下請の関係においては、下請企業の社会保険未加入が元請企業にも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

目次

社会保険の加入義務について

まず、社会保険の加入義務について確認しましょう。法人である建設業の事業所は、従業員の有無にかかわらず、報酬を受け取る役員がいれば社会保険への加入が必要です。また、常時5人以上の従業員を使用する建設業の事業所も、社会保険の強制適用事業所に該当します。これは、建設業が「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体またはその準備の事業」に該当するためです。

社会保険が未加入の場合のリスクとは

社会保険の加入要件を満たしているにもかかわらず、従業員を未加入のままにしていると、最大2年さかのぼって加入させられることがあります。また、健康保険証を使用していた場合、医療費の一部(7割または8割)を以前の保険者から請求されることもあります。さらに、傷病手当金や出産手当金、障害年金などの給付が受けられなくなるリスクもあります。

社会保険は法令に基づく強制加入の制度

従業員が「社会保険に入りたくない」と希望しても、加入要件を満たしていれば、企業は加入させる義務があります。社会保険は従業員の意思で選択できる制度ではなく、法令に基づく強制加入制度です。

外国人が労働者の場合

また、外国人労働者を雇用する場合も、国籍に関係なく労働保険・社会保険の適用対象となります。特定技能などの在留資格で就労する外国人については、在留資格の許可が下りる前に就労させると、不法就労とみなされ、企業にも罰則が科される可能性があります。

下請けが未加入の場合、元請企業の責任はあるか

建設業界では、元請企業が下請企業の社会保険加入状況を確認しないまま契約を進めると、元請側も社会的責任を問われるケースがあります。元請・下請の双方が法令遵守の意識を持ち、社会保険の適正な加入を徹底することが、企業の信頼性を高め、将来的なリスクを回避する鍵となります。

下請けが、一人親方の場合

一人親方は労働者ではなく事業主であるため、社会保険の強制加入対象外となる場合がありますが、元請企業は建設現場の安全・法令遵守の観点から、形式的な一人親方化(偽装請負)を防ぐための確認と指導が重要です。
具体的には、就業実態が労働者性を帯びていないか(指揮命令下での作業、時間的拘束、報酬の時間給性など)を確認し、必要に応じて社会保険加入の指導や契約内容の見直しを行うことが求められます。
そして現状では多くの一人親方は、特別労災に加入していないと建設現場に入場できないケースが多いと思います。

下請けが、法人の一人社長の場合

法人で社員が1人もいない社長であっても、一定の条件を満たせば建設業の特別労災(労災保険の特別加入)に加入することが可能です。

特別加入制度は、労働者ではないが業務の実態や災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することが適当とされる方を対象としています。特別加入の対象者は以下の4つに大別されます。

中小事業主等  一人親方等  特定作業従事者  海外派遣者 

このうち、建設業の社長が「一人親方等」に該当する場合、特別加入が認められます。たとえば、法人の代表者であっても、従業員を雇用せず、自ら現場で作業に従事している場合は「一人親方」として扱われることがあります。

ただし、特別加入を行うには、以下のような要件や手続きが必要です。

  • 加入申請は、労災保険事務を取り扱う団体(労働保険事務組合など)を通じて行う必要があります。
  • 加入後に業務災害や通勤災害が発生した場合、保険給付の請求には「派遣元の団体または事業主を通じて」行うことが求められます。

したがって、法人の社長であっても、従業員を雇用せず、現場で自ら作業を行っている場合には、「一人親方等」として特別加入制度の対象となり、建設業の特別労災に加入することが可能です。

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