「管理職(管理監督者)の要件と残業代免除のポイント」
企業には管理職と呼ばれる方が多くおります。
私も昨年退職するまで、課長を4年、部長を13年務めさせて頂きましたが、
残業、休日、深夜の割増賃金が付いていたかは秘密です。
残業代を支払わなくて良いとされている管理職(管理監督者)について、
今回もさらっと記載させて頂きます。
管理職と管理監督者について
課長・店長・マネージャーなどの肩書で管理職となった方には、もう残業代等は支払わなくと良いとされている企業も多いと考えられます。
労働基準法41条で定められている「管理監督者」は、労働時間・休憩・休日の規定が適用されない労働者になるため、残業代等の支払い義務はありません。
しかしながら、管理職とされている課長・店長・マネージャーは、「管理監督者」に該当するのでしょうか?
管理監督者の定義とは?
管理監督者とは、労働基準法 第41条に基づき、労働時間、休憩、休日の規定が適用されない労働者を指します。
これは管理監督者の職務が一般の労働者と異なり、高い裁量性や経営に対する影響力が重視されているためとなりますので、以下に具体例やポイントを挙げます。
管理監督者の職務内容と裁量権の範囲
管理監督者は、その職務において広範な裁量権を持つことが必要となります。
例えば、部門の運営方針の決定や、人員配置の裁量を持つ場合などがこれに該当します。
また、事業の運営に関わる重要な決定に関与することもポイントです。
管理監督者の報酬
一般社員とは異なる報酬体系が求められます。例えば、基本給が高く設定されているか、
ボーナスが経営成績に連動する形で支給されている場合などが該当します。
経営の成果に対する責任と報酬が対応しているかが重要なポイントです。
管理監督者は労働時間が自由
労働時間について、法定労働時間を超えても勤務する場合が多く、その裁量が本人にある場合が多いです。
また、自身の判断で勤務時間を調整できるかどうかがポイントとなります。
例えば、朝9時から夕方5時まで定められている就業時間について、
管理監督者は自己の裁量で勤務時間を決められるということになります。
管理監督者への残業代の支払いは不要
上記に記載した内容に該当すれば、管理監督者と定義され、
時間外労働や休日労働に対する割増賃金を支払う義務はありません。
しかし、深夜労働に従事した場合の割増賃金の支払いは、
通達(昭23.10.14基発1506号)にて支払いが必要となっておりますので、ご注意ください。
「管理監督者」として認められるには、ハードルが高い
管理職と管理監督者は必ずしも一致するわけではなく、
職務内容や裁量権、報酬体系といった観点から判断されるため、
詳細な役割や職務範囲によって適用されるかどうかが異なる場合があります。
殆どの管理職は管理監督者に該当するのは厳しいのでは?と個人的には思います。
(労基法で規定されている、自由で権限が大きい管理職って、ほぼ役員(経営者)と部長?ぐらいでは…)
具体的な状況については、社内の規定や実際の役割を考慮し、
管理監督者に該当するかどうかを確認することが望ましいです。
管理職としていても管理監督者に該当しないと、
労働時間・休憩・休日の規定が適用されますので、残業代などの割増賃金の支払いが必要となります。
マスコミやメディアで取り上げられていたので、ご存じの方も多いと思いますが、
この点を争われたのが、日本マクドナルド事件「名ばかり管理職」の判決(平成20年1月)があります。
企業にとって最も大事なのは、管理者や従業員の方と
「未払い残業代」のトラブルが発生しないようにすることです。
もし訴訟にでもなってしまったら、時間も費用も掛かるのでとても大変です。
未然に予防できるよう、就業規則などで、管理監督者の定義を明記し、
運用や実態も就業規則に沿うことが必要となります。
さくらい社労士FP事務所では、就業規則の見直しなど、お手伝いさせて頂きますので、何かあればご連絡ください。
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