「50代・60代からの“働き方と暮らし”の再設計~定年後を見据えた備えとは」①ねんきん定期便等の見方

50歳代・60歳代になると、「定年」が現実味を帯びてきます。長年働いてきた職場での役割や責任も重くなる一方で、「あと何年働けるのか」「退職金や年金で生活できるのか」「再雇用後の収入は?」といった将来への不安も現実的になってきます。
今回は、定年を前にした50代・60代の方に向けて、今から考えるべき“働き方と暮らしの備え”について、社労士及びファイナンシャルプランナーの視点からお伝えします。
「定年」はゴールではなく“再設計”のスタート
最近は60歳定年から65歳定年への移行や、再雇用制度を利用して65歳まで働く方も増えています。そして65才までの雇用は起業の義務となっております。
しかしながら再雇用後の給与は現役時代と比べて大きく下がるケースが多く、「生活は維持できるのか」という不安も付きまといます。
だからこそ、定年後の「働き方」と「生活設計」は、早めに具体的に考える必要があります。自分のライフスタイルや健康状態、家族の状況に応じて、「収入を重視する働き方」か「自分らしく働く選択」かを見極めることが大切です。
ねんきん定期便を活用して、将来の設計に“見える化”を
50歳を過ぎると、毎年送られてくる「年金定期便」の内容が詳しくなります。特に、50歳以上の方には60歳以降に受け取れる見込み年金額が記載されており、老後の収支バランスを考える重要な指針になります。
この「ねんきん定期便」を活用することで、自分が受け取れる年金額の見通し、将来の不足分、退職金や再雇用後の給与とのバランスが把握しやすくなります。
社労士やファイナンシャルプランナーと一緒に「キャッシュフロー表」や「ライフプラン表」を作成し、見える化しておくことで、安心感が生まれ、備えるべきことも明確になります。
ねんきん定期便の見方
①.50歳未満の方に届くハガキで届く「ねんきん定期便」(35歳と45歳は除きます)
上記の方に届く「ねんきん定期便」は過去の加入実績に基づいて、現時点でいくら受給できるかがわかる内容です。
よって若い方は加入年数が少ないので受給できる年金額が少なくて驚いてしまうと思いますが、加入記録(加入月数など)が、ご自身の実績に対して合致しているかを確認できますので、給与明細等はなるべく捨てずに保管しておきましょう(保険料が給与から引かれているか確認できますので)
②.50歳以上の方に届く封書で届く「ねんきん定期便」(59歳を除きます)
上記の方に届く「ねんきん定期便」はこれまでの加入実績を基にして、60歳まで同じ条件で加入を継続したと仮定し、65歳になったら受け取れる見込みの年金額が記載されているので、上記の50歳未満の方と受け取れる額が異なります。
(転職・退職・減給などがあると年金額も変わりますので、要注意です)
③.35歳、45歳、59歳の方が受け取る封書で届く「ねんきん定期便」
上記の節目年齢になる方に届く「ねんきん定期便」はこれまでの年金加入記録の詳細が記載されています。
35歳・45歳の方は上記①の方と同じ加入実績に対する年金額が記載されています。
59歳の方は上記②の方と同じで60歳まで同じ条件で加入を継続したと仮定した内容の見込み年金が記載されています。
ねんきんネットへの登録
将来の年金額や納付記録をいつでも確認できる「ねんきんネット」への登録がおすすめです。パソコンやスマートフォンから簡単にアクセスでき、年金定期便の内容も電子版で確認可能。老後の資金計画に役立つ便利なツールです。
まとめ
・ねんきん定期便は年齢によって内容が異なる
・50歳未満の人は加入実績のみで試算されているので、年金見込額が少ない
・35歳、45歳、59歳は封書で届き内容が詳細になっている
・50歳以上からは、60歳まで同じ条件で加入したと仮定した見込年金が記載される
・ねんきんネットの登録も行い、加入記録の確認や将来受け取る年金見込額を試算する
次回は
第2回「年金は繰り上げ?もしくは繰り下げ?」は、7月15日頃に掲載予定です。
年金の受給開始時期を変えることで、どのように年金額が変わるのか。
「人生の選択」としての視点から解説します。ぜひご覧ください。
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