2025年問題は「チャンス」に変えられる!シニア社員が輝く会社の作り方

建設業界の2025年問題をご存じでしょうか?これは団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、社会全体で労働力人口が減少するという課題です。特に人手不足が深刻な建設業界では、この影響は避けられません。しかし、見方を変えれば、これはベテランであるシニア社員の力を再評価し、活用する大きなチャンスでもあります。

目次

なぜ今、シニア社員の活用が重要なのか?

建設業では、長年の経験と熟練の技術を持つベテランが多数在籍しています。しかし、従来の「定年=リタイア」という考え方では、貴重なノウハウや技術が失われてしまいます。

高年齢者雇用は、単なる人手不足対策ではありません。

  1. 技術・ノウハウの継承: 若手への技術指導を通じて、企業の競争力を高めます。
  2. 企業の安定化: 経験豊富なシニア社員は、現場での予期せぬトラブルにも冷静に対応でき、安全管理の要となります。
  3. 新たな働き方の創出: シニア社員の柔軟な働き方を認めることで、若手も含めた多様な人材が定着しやすい環境が生まれます。

いますぐできる!「高年齢者雇用」の具体的なステップ

ステップ1:現状の労務環境をチェックする

まずは、自社の就業規則を確認しましょう。「定年後再雇用制度」や「勤務延長制度」が適切に整備されているか、そしてその運用方法に無理がないかを見直します。

<チェックポイント>

  • 定年年齢は65歳に設定されていますか?(※法律上、65歳までの雇用確保義務があります)
  • 再雇用後の給与や労働条件は明確ですか?
  • シニア社員の意見を聞く機会は設けていますか?

ステップ2:シニア社員向けのキャリアプランを設計する

「定年延長」や「再雇用」といっても、以前と同じ働き方では体力的に厳しい場合もあります。

<例>

  • 現場の責任者から「指導役」へ: 危険な高所作業などは若手に任せ、技術指導や品質管理に専念してもらいます。
  • フルタイムから「時短勤務」へ: 週3日勤務や午前中だけの勤務など、柔軟な働き方を導入します。
  • 新たな職務の創出: 現場作業から離れ、積算や労務管理、安全管理の事務作業を任せるなど、これまでとは違う役割を担ってもらうことも有効です。

こうした柔軟な働き方を設計することで、シニア社員は無理なく、長く活躍できます。

ステップ3:国の助成金を積極的に活用する

高年齢者雇用を進める企業には、国からの助成金が用意されています。

【65歳超雇用推進助成金】の活用ポイント

この助成金は、高年齢者が意欲と能力に応じて働き続けられる環境づくりを支援するものです。建設業の中小企業にとって特に活用しやすい代表的なコースの概要は以下の通りです。(令和7年度のため、来年は変更される可能性があります)

  1. 65歳超継続雇用促進コース
    • 概要:以下のいずれかを実施した事業主に対して助成を行うコース
      A.65歳以上への定年引上げ 
      B.定年の定めの廃止
      C.希望者全員を対象とする65歳以上への継続雇用制度の導入
      D.他社による継続雇用制度の導入
      支給額:措置の内容や年齢の引き上げ幅等に応じて、支給額が異なります。
  2. 高年齢者評価制度等整備支援コース
    • 概要: 高年齢者向けの雇用管理制度の整備等に係る措置を実施した事業主に対して一部経費の助成を行うコースです。対象となる措置は以下の通りです。(実施期間:1年以内)
    • ① 高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入または改善
      ② 高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度などの導入または改善
      ③ 高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善
      ④ 高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるために必要な知識を付与するための研修制度の導入又は改善
      ⑤ 専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入または改善⑥ 法定外の健康管理制度(胃がん検診等や生活習慣病予防検診)の導入 等
      支給額:上記の支給対象経費の額に下表の助成率を乗じた額を支給します。
       中小企業60%  中小企業以外45%
  3. 高年齢者無期雇用転換コース
    • 概要: 50歳以上かつ定年後に有期雇用で働く社員を、無期雇用に転換した事業主を助成します。 
    • 支給額: 対象労働者一人につき、下表の金額を支給します。
      中小企業30万円  中小企業以外23万円

これらの助成金を活用することで、企業の負担を抑えつつ、制度を円滑に導入できます。
詳しくは厚生労働省のリーフレットをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/001469525.pdf
(助成金は申請しても、必ず受給できるとは限りません)

まとめ:シニア社員は「人件費」ではなく「財産」

建設業界におけるシニア社員は、単なる人件費ではありません。彼らが持つ技術や経験、そして人脈は、会社にとってかけがえのない財産です。

「2025年問題」をネガティブなものと捉えるのではなく、「ベテランの力を活かして会社を強くするチャンス」と捉え、今から具体的な対策を始めてみてはいかがでしょうか。

ご自身の会社に最適な高年齢者雇用制度の設計、就業規則見直し、助成金の活用についてのご相談があれば、ぜひ、さくらい社労士FP事務所までご連絡ください。

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