みなし労働時間制度と固定残業制度のメリットとリスクへの対策

さくらい社労士FP事務所の櫻井康成です。
5月の連休も終わり、気温も上がってきまして、私も開業4か月目になりました。

今回は「みなし労働時間制度」と「固定残業制度」について、いつも通りざっくり記載しました。

目次

私の会社員(営業部員)時代を振り返ってみると

私の所属していた会社では、みなし労働時間制度だったのか?記憶が既にないのですが、類似の制度だったような気がします。

毎日、午前10時を過ぎても社内にいると上司から「営業は受注するまで帰ってくるな!外回りへ行って来い!」とハッパをかけられて、事務所を飛び出して行き、時には夜遅くまで営業訪問や工事立ち合いなどがある一方で、空いた時間には喫茶店でお茶を飲んだりしてました。

今思えば、一般職であった20歳代の頃は法律的な知識が皆無でしたので、みなし労働時間制に残業が含まれていたのかを気にしたことがなく、私を含めて同僚の多くは残業代より成績給(インセンティブ)を得るため、社内で競争しながら働いてましたので、社風だったのか時代なのか?

みなし労働時間制度や固定残業制度を導入するメリット

多くの会社で導入されているのは、やはりメリットがあるからで、思いつくと下記になります。

・実態に基づいた残業代を計算しなくてよいので、給与計算業務が容易になる。
・毎月の人件費変動も想定内で済む。
・仕事が遅い人に残業代が多くついてしまう不公平感がなくなる。
・仕事が早く終わる人には、得になる制度なので公平感が生まれる。

みなし労働時間制度とは(概略)

みなし労働時間制度は、事前に決めた時間を労働時間とする管理方法の一つです。
(残業は月10時間とする=時間外手当必要、もしくは所定時間内とする、など)

実際の時間外労働が、みなし労働時間を超えていたも、超えた時間はカウントされない制度であり、外勤や出張フレックスタイム制などがあります。

固定残業制度とは(概略)

固定残業制度は、実際に時間外労働を(残業や所定休日)した時間ではなく、事前に決めた時間外労働に対する固定残業代を毎月支払う制度です。

例えば、繁忙期も閑散期も毎月10時間の固定残業代を支払うとした場合は、残業が5時間でも10時間でも10時間の残業代が支払われる制度です。
(10時間を超えた分は支払いが必要となります)

みなし労働時間制度や固定残業制度のリスク

みなし労働時間制や固定残業制は便利ですが、一方でリスクもあります。

法令違反:固定残業制度は、超過した分の支払いが必要ですが、未払いの場合は、残業代未払請求の可能性。
雇用関係の悪化:長時間労働を把握されない等で、労働者との信頼関係が損なわれ、離職率の上昇など。
労働者の労働状況の不透明さ:勤怠管理を適切にしない場合、実際の労働状況が見えにくく過重労働が発生。

みなし&固定残業を導入(継続)する場合の対策として

会社が社員の勤怠を把握することは義務となりますので、もし自己申告もしくはみなし労働時間制度と固定残業制度により、勤怠管理を行っていない場合は、早期に勤怠管理を実施された方が良いと思います。

みなし労働時間制度と固定残業制度を導入したとしても、超過した労働時間・深夜労働・休日労働などは適正な管理を行い、割増賃金等の支払いが必要になるためです。

また、就業規則への記載や労使協定の締結や、給与明細への記載など、法令に沿った運用が必要になりますので、導入する場合や変更する場合には、社員の方達と事前に合意をして、労使で納得した上で適用されるべきかと思います。

今回は以上になります。 
もしお手伝いが必要でしたら、
さくらい社労士FP事務所までご連絡ください。

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