大切な社員が、介護で退職になることを防ぎましょう。
介護離職…とてもつらい話ですが、最近は増加しておりますので、企業の対策は必要と思われます。。
ご両親などの家族を介護する方は、年々増加しています。
性別や年齢を問わず多くの従業員が、仕事と介護をどう両立させるか不安を抱えております。
私の父は2003年に他界しましたが、亡くなる前の約3カ月は入院中で意識不明でした。
このままの状態がいつまで続くのか、とても不安な日々を過ごしていたことを思い出します。
(今から見れば、介護保険が2000年4月から施行されているのに、と思いますが当時は気付きませんでした)
そこで今回は、貴重な人材が介護離職にならないよう、対応方法について記載致します。
1.家族の介護が必要な従業員がいるときの全体像として
事前に介護に関する整備が進められていることは理想的ですが、実際には多くの会社が従業員からの急な相談を受けて対応を迫られるケースが少なくありません。
従業員から家族の介護が必要になったと報告や相談を受けた場合には、まずは従業員が抱える不安に真摯に向き合い、仕事と介護を両立するために必要なサポートを検討することが望まれます。
2.従業員から家族の介護が必要になる旨の報告を受ける
★ 対応 ★
家族の介護が必要になった従業員は、会社にどのタイミングでどのように伝えればよいのか悩み、不安を抱えていることが多いです。
従業員から家族の介護が必要になる旨の報告や相談を受けた際には、まずは状況を受け止め、従業員の気持ちに寄り添った対応を心がけることが重要と思われます。
★ポイント★
日頃から「介護に直面した場合、会社は介護と仕事の両立を支援するので、安心して相談してほしい」というメッセージを全従業員に伝え、相談しやすい雰囲気作りを整えておくことが大切かと思います。
具体的には、社内相談窓口の設置や働き方の配慮が必要な家庭事情はないかを、定期的に面談等で確認するなどの取り組みが有効と思われます。
3.仕事と介護の両立支援制度について知る
★ 対応 ★
労務担当者、上長、経営者の方が、従業員との面談前に、介護の社会資源や介護保険制度、法令で定められた仕事と介護の両立支援制度について十分に理解していることは、従業員の信頼につながるのではないでしょうか。
(実務で多忙のため、そう簡単ではないことは理解しております)
また、介護保険制度による介護サービスと、自社の仕事と介護の両立支援を上手く組み合わせて利用することが、
介護を行う従業員の就労継続のポイントとなります。
1 介護を行うための社会資源
2 介護保険制度の基本、介護サービスの利用
3 法律で定められている仕事と介護の両立支援制度
★ポイント★
経営者や労務担当者の方が、介護について理解があることで、
従業員は適切な対応を受けられると感じ、安心して相談できる環境が整います。
上記の1~3については、ここで記載することは割愛しますが、とても多岐にわたりますので、
介護が必要な方の状況にもよりますが、まずは、市町村で要介護(要支援)の認定の申請を行い、
地域包括支援センターで相談や申請を代行してもらうのが良いと思います。
4.就業規則を確認する
★ 対応 ★
就業規則や育児・介護休業規程で、以下の確認項目について確認し、会社の介護に関するルールを確認しましょう。(法令)と記載があるものは、就業規則の記載有無にかかわらず、対応が必要です。
★ポイント★
介護休業や介護休暇に関する条件、手続、賃金や賞与の取扱いについては、従業員とのトラブルを避けるためにも事前に確認し、明確に説明できるようにしておくことが重要です。
ハラスメント防止措置や福利厚生については、育児・介護休業規程に記載されていることがあるため、あわせて確認しましょう。
5.従業員に現在の状況をヒアリングする
★ 対応 ★
従業員が家族の介護を必要とする状況に直面した際には、不安や悩みが多く、話しづらいこともあります。会社に迷惑をかけてしまうのではないか、仕事を続けられるのかといった不安を感じています。
経営者や労務担当者の方は、「介護はすべての人に起こり得るものである」ということへの理解と「困ったときはお互いさま」という気持ちを持ちながら従業員が安心して相談できる雰囲気を作り、そして従業員の状況を正確に把握することが求められます。
1.介護の状況を確認する
2.今後の対応フローと次回の面談日を設定する
★ポイント★
従業員の家庭の事情について、無責任な発言や本人の意向を聞かずに、働き方を制限するような発言は避けましょう。
6.所属部署の上長へ現状を伝える
★ 対応 ★
家族の介護が必要になった従業員の状況を、所属部署の上長に伝えます。従業員のプライバシーに配慮し、必要以上の個人情報を共有しないように注意しましょう。
仕事と介護の両立に不安を抱えている従業員に対して、上長や部署全体でのサポート体制が不可欠です。
上長や経営者の方に対して、従業員が現在抱えている介護の状況や、必要なサポートの概要を説明し、対応について協議する機会を設けましょう。
従業員、上長(もしくは経営者)、労務担当者(もしくは経営者)の三者で面談を行い、具体的な対応策を協議しましょう。
★ポイント★
従業員本人の希望で、介護の状態が軽度であり仕事も通常どおり行えるため上長との面談は当面必要ないと申し出ている場合は、本人の意思を尊重し「ご家族の介護について相談を受けているがご家族の状態も安定しているため、業務上の支援は今のところ必要にまでは至っていない」という報告のみ上長もしくは経営者の方に伝えましょう。
7.仕事と介護の支援体制について説明をする
★ 対応 ★
家族の介護をしながら仕事を続けるには、さまざまな不安や悩みが伴います。この面談では、従業員、上長(もしくは経営者)、労務担当者(もしくは経営者)の三者が、現在の介護状況と仕事の状況を共有し、会社の介護に関する制度を理解することを目的としています。
従業員には、面談で得た情報をもとに、親族や相談機関と今後の介護プランを策定する際に活用してもらいます。
この面談で即座に対応策を決定するわけではなく、話したことや情報を持ち帰ってもらい、後日、従業員の意向を確認することを伝えます。
介護は長期にわたることが多く、必要な支援も介護の状況に応じて変化します。そのため、従業員は家族・親族、介護事業者、行政、そして会社と連携しながら、チームとして介護体制を形成していきましょう。
★ポイント★
介護を行う従業員には身体的・精神的な負担がかかるため、心身の状態や仕事のパフォーマンスなど職場での働き方に大きな影響を及ぼします。
従業員の労働能率が低下することなどにより、周囲の従業員の業務負担が増大するケースが挙げられます。
そのため、介護を行う従業員の部署やチームに対し、業務の偏りを軽減させるためにも、業務分担の見直しや業務の効率化など、周囲の従業員の業務負担にも配慮していくことが求められます。
上長や経営者の方は、これらも勘案してフォロー策を検討していく必要があるため、焦りや過度なプレッシャーを感じるケースもあります。
部署全体の業務の円滑な進行と従業員の健康維持を両立させるためのバランスを見極めながら、労務担当者も適切なタイミングで声かけをし、部署支援を進めることが求められます。
8.当面の対応について意向を確認する
★ 対応 ★
従業員が親族や相談機関と今後の介護について検討した結果、活用したい会社の制度について意向確認を行います。
意向確認の記録を残すために、書面での意向確認を実施することをおすすめします。
一定期間従業員から返事がないときはリマインドを行うなど、意向把握ができるようご対応ください。。
★ポイント★
025年4月から、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化が予定されています。
この法改正により、従業員が家族の介護に直面した場合には、両立支援制度等について個別に周知し、
意向確認を行うことが事業主に義務付けられます。
法改正に備え、今のうちから意向確認を会社のルールとして定めておくことをおすすめします。
9.定期的な面談をする
従業員が家族の介護をしながら仕事を続けると、介護状況や従業員の心身の状態が時間とともに変化することがあります。従業員と労務担当者との定期的な面談を通じて、状況を把握し、必要な支援や配慮を行いましょう。
まず、面談の頻度を従業員と相談し、月に1回程度を目安に設定します。面談では、介護状況の変化や従業員の心身の状態、仕事への影響を確認し、新たな不安や悩みがあればヒアリングします。
また、会社の介護支援制度の活用状況についても確認し、必要に応じて追加のサポートを検討します。
★ポイント★
面談で話し合った内容は、必ず記録に残し、後日のフォローアップに活用しましょう。
従業員の勤務状態が気になる場合や新たな問題が発生した場合には、迅速に対応策を検討し、再度の面談を設定したり、上長(もしくは経営者)を交えて三者での面談を設定することも検討しましょう。
最後に
本業への対応や業績向上のために日々活動されている経営者の方が、さらに従業員の介護離職対策まで対応しなければならないとなると、気苦労が絶えないと思われますが、貴重な人財を失わないためにも、発生する前から準備をしておけば、多少の余裕も出ると思われます。
さくらい社労士FP事務所でも、従業員の方が介護離職の予防対策として、
お手伝い出来る事がありますので、お気軽にご相談ください。
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