パワハラを防止するための注意点と具体例など
多くの企業経営者の方は、業績や事業の拡大に取り組まれながらも、従業員を大事にして、働き甲斐がある職場を作りたいと、日々試行錯誤されていると思われます。
しかし、社長と従業員の間は良好でも、その一方で、先輩社員(上司)と後輩社員(部下)の距離が近すぎるがゆえに、社長が知らないうちに、パワハラに発展してしまうケースも考えられますし、社長自身が気付かぬうちにパワハラをしている場合もあります。
各種のハラスメント問題は、今後も経営者の方が避けては通れない社会問題となっておりますので、
今回は、パワハラ防止のために知っておくべき10の注意点と、具体的な事例を交えてご紹介します。
パワハラが発生しやすい環境は?
上司と部下の距離が近い: 指示や相談が気軽にできる一方で、個人的な感情が入り込みやすく、パワハラに発展する可能性があります。
人員不足: 人員が不足しているため、従業員に過度な負担がかかり、ストレスが溜まりやすい状況が生じます。
相談できる相手が少ない: 悩みを相談できる同僚や上司がいなかったり、相談しづらい雰囲気であったりする場合、問題が深刻化する可能性があります。
注意点① パワハラの定義を正しく理解する
パワハラは、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えて、労働者の就業環境が害されることです。
暴言や人格否定だけでなく、無視や過度な業務の押し付けなどもパワハラに該当する可能性があります。
注意点② 指示とパワハラの違いを明確にする
指導とパワハラの違いは、その意図と方法にあります。
指導は、従業員の成長を目的としたものであり、
具体的に改善点を伝え、共に解決策を探ることが重要です。
一方、パワハラは、個人的な感情をぶつけたり、従業員を貶めることを目的としたものです。
労働基準監督署が、パワハラを認めるには様々なケースがありますが、
刑事上または民事上の責任を問われるケースとなり、
場合によっては暴行罪・脅迫罪・侮辱罪の刑事責任や、損害賠償などの民事責任が発生しますので、要注意です。
注意点③ 従業員の意見に耳を傾ける
従業員からの意見や相談は、積極的に受け止めましょう。
不満や不安を抱えたままでは、仕事のパフォーマンスが低下したり、
モチベーションが下がったりする可能性があります。
定期的な面談やアンケートを実施し、従業員の悩みや不満を把握しましょう。
注意点④ 相手の立場に立って考える
指示を出す際、相手がどう感じるか、どう受け止めるかを常に意識しましょう。
言葉遣いや態度一つで、相手に大きなストレスを与える可能性があります。
注意点⑤ プライバシーの侵害に注意する
プライベートな質問をしたり、SNSでの行動を監視したりすることは、プライバシーの侵害にあたります。
個人情報へのアクセスは、業務上必要な範囲に限定しましょう。
注意点⑥ 公平な評価を行う
従業員を評価する際は、客観的な基準に基づいて行いましょう。
個人的な感情や好き嫌いで評価することは、公平性を欠き、パワハラにつながる可能性があります。
注意点⑦ ハラスメントに関する社内規定を整備する
ハラスメントが発生した場合の相談窓口や調査・処分の手続きなどを明確にした社内規定を整備しましょう。
従業員に周知徹底することで、ハラスメント発生時の対応をスムーズに行うことができます。
注意点⑧ 定期的な研修の実施
従業員に対して、ハラスメントに関する研修を定期的に実施しましょう。
ハラスメントの定義や事例を学ぶことで、従業員自身の意識改革を促すことができます。
注意点⑨ 相談しやすい環境づくり
従業員が気軽に相談できるような環境づくりが大切です。
相談窓口を設置したり、匿名での相談を受け付けたりすることも有効です。
注意点⑩ 早期発見と対応及び経営者のリーダーシップ
ハラスメントは、早期に発見し、適切な対応を行うことが重要です。少しでも異変を感じたら、
社長のリーダーシップの下で、すぐに対応しましょう。
パワハラになる可能性が高い具体的な事例
暴言・人格否定: 「お前はいつもダメだ」「仕事ができないやつはクビだ」「辞めてしまえ!」など、人格を否定するような言葉は厳禁です。
無視: 質問や相談に対して、わざと無視したり、適当にあしらったりすることは、パワハラに該当する可能性があります。
過度な業務の押し付け: 従業員の能力や体力に見合わない業務を過度に要求することは、パワハラに当たります。
プライベートな質問: 従業員のプライベートなことに過度に干渉することは、プライバシーの侵害にあたります。
パワハラが企業にもたらす損害
1. 従業員の離職率の上昇
優秀な人材の流出: パワハラを受けた従業員は、精神的な苦痛を感じ、会社を辞めてしまうことがあります。特に、スキルが高く、会社にとって重要な人材の離職は、企業に大きな損失を与えます。
採用コストの増大: 離職した従業員の後任を探すために、採用活動を行う必要があります。採用活動には、求人広告費、面接にかかる時間など、多額のコストがかかります。
2. 生産性の低下
業務効率の低下: パワハラを受けた従業員は、精神的なストレスを抱え、業務に集中できなくなります。結果として、ミスが増えたり、作業効率が低下したりしますし、長期休業となるケースも多々あります。
チームワークの崩壊: パワハラは、チーム内の信頼関係を破壊し、コミュニケーションを阻害します。チームワークが低下すると、プロジェクトの遅延や品質の低下につながる可能性があります。
3. 企業イメージの低下
社会的な信用失墜: パワハラが外部に漏れると、企業のイメージが悪化し、顧客や取引先からの信頼を失う可能性があります。
優秀な人材の採用が困難になる: 企業のイメージが悪化すると、優秀な人材を採用することが難しくなります。
4. 訴訟リスクの増加
損害賠償請求: パワハラを受けた従業員から、損害賠償を求められる可能性があります。
労務トラブルの増加: パワハラ問題は、労務トラブルに発展し、労働基準監督署から指導を受ける可能性もあります。
5. その他
精神的な負担: 経営者自身も、パワハラ問題に悩まされ、精神的な負担が増大する可能性があります。
顧客からのクレーム: パワハラによって従業員の対応が悪化し、顧客からのクレームが増える可能性があります。
最後に
企業や働く場所は、一人ひとりの関係性が大切です。
経営者の方は、本業への取り組みに日々多忙とは思いますが、
パワハラで、貴重な社員を流出させないよう、パワハラのない、働きやすい職場づくりを目指しましょう。
さくらい社労士FP事務所は、
社内規定の作成支援など、パワハラ対策のお手伝いをさせて頂きますので、
お気軽にご相談ください。
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