2024年改正雇用保険法について② 適用要件の拡大(2028年10月施行)が、企業と従業員へ与える影響とは?
前回に引き続きまして、雇用保険の改正について記載致します。
今回は雇用保険の適用要件の拡大について解説致します。
現状の雇用保険の適用要件とは
これまでは1週間の所定労働時間(時間外労働を除く)が20時間以上であれば、雇用保険の対象でした。
(継続して31日以上雇用されることが見込まれる方)
例えば、パートやアルバイトの方が1週間で、1日×4時間×5日=合計20時間になるため、
この場合は雇用保険の対象となります。
*社会保険(健康保険・厚生年金保険等)の場合は、上記以外に賃金月額88,000円以上が必要となります*
2028年10月からの雇用保険の適用要件とは
そして2028年10月(約4年後)からは、1週間の所定労働時間(時間外労働を除く)が、
現在の半分である10時間以上に緩和されます。
例えば、パートやアルバイトの方が1週間で、1日×2時間×5日=合計10時間になるため、
この場合は雇用保険の対象となります。
正社員が1日2時間残業すると大体10時間なので、4年後ですが、かなりの緩和だと思います。
この改正により、約500万人のパートやアルバイトの労働者が新たに雇用保険の対象となります。
また、適用要件の拡大に伴い、20時間を基準として設定されていた他の基準も合わせて変更されます。
失業認定を受けられる可能性も上がりますので、パートやアルバイトの方の退職・転職が多くなるような?
改正によって企業が行うべきこと
改正から施行までの準備期間が長く設定されていることや、新たな対象者数からも分かる通り、企業や労働者の双方にとって大きな影響のある変更となります。
対象となる可能性のあるパート・アルバイトを雇用している企業は、スムーズに対応できるよう前々から準備をしておくことが大切です。
・対象となるパートやアルバイトの確認(学生は含みませんが、夜間学生は対象です)
・給与計算システムの調整
・対象となる、パートやアルバイトへ説明会等を実施し、具体的に説明を行う事
・対象となる労働者から雇用保険料の徴収
・就業規則や雇用契約書の改定
・労務管理(勤怠管理)の強化
・助成金の検討 など
パートやアルバイト社員の活用も
雇用保険の改正により、正社員とパート・アルバイトの保険手続きの差がなくなり、雇用の柔軟性が高まりました。
これにより、事業主の皆様には新たな人材活用のチャンスが広がります。
パートやアルバイトの活用は、労働力の確保やコスト削減に大きく寄与します。
短時間労働者の雇用も、法的な手続きの簡素化によりスムーズに進められます。
この機会に、効果的な人材戦略を見直し、多様な働き方を取り入れてみませんか?
さくらい社労士FP事務所は、皆様の企業が最大限の成果を上げられるようサポートいたします。
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