大事な社員が「介護休業」を申し出たら? 

〜退職を防ぎ、助成金を活用するために〜

近年、ご両親等の介護を理由に仕事を辞めざるを得ない、いわゆる「介護離職」が社会問題になっています。
特に中小企業では、一人の社員の離脱が業務に与える影響が大きく、まさに“人財”の喪失に直結します。
しかし、社員の離職を防ぎつつ、会社としても負担を軽減できる仕組みがあることをご存じでしょうか。

今回は、大切な社員が介護休業を検討する場面で、企業としてどのように備え対応できるかを
「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」の活用と、事前準備の重要性について記載致します。

目次

■ 介護離職を防ぐには「制度」と「対話」が鍵

社員から「親の介護が必要になった」と相談されたとき、
企業側が制度を説明できず、「それなら辞めるしかないかもしれませんね」といった対応をしてしまうと、
退職の流れが一気に加速してしまいます。

介護休業は育児休業と異なり、ある日突然訪れる可能性もありますので、
普段から社員と面談等で、家族状況などを把握しておくことも重要となります。

実際に、介護休業制度時短勤務制度など、仕事と介護を両立できる選択肢は複数ありますので、
まずは会社としてその制度を整え、社員にわかりやすく伝えることが第一歩です。

■ 助成金「介護離職防止支援コース」とは?

仕事と介護の両立支援を実施する場合、
厚生労働省の「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」を活用することが可能です。

今回は「介護休業取得時」と「職場復帰時」に取り組んだ場合を説明いたしますが、
この助成金は、以下のような取り組みを実施することで受給対象となります。

たとえば、制度の整備・周知を行った上で、対象社員が介護休業を取得した場合は30万円。
そして原則として原職等に復帰させて継続雇用をすると30万円が支給されますので、
合計60万円の助成金が受けられる可能性があります。

*上記以外にも
「業務代替支援加算」や「介護両立支援制度」「個別周知・職場整備加算」の制度もありますが、
 今回は割愛させて頂きます。

■ 事前準備が最大のカギ

この助成金は「介護が始まってから」慌てて取り組んでも、要件を満たさず支給対象外となるケースも考えられますので、“まだ対象者がいない”うちから制度整備をしておくことが重要です。

具体的には、以下のような事前の準備や事後の対応が求められます。

●介護休業取得時
・介護休業取得や職場復帰についてプラン作成による支援を実施する方針の整備と社内周知
・該当社員と介護休業の取得、職場復帰について支援プランの作成
・業務の引継ぎを実施し、対象労働者が合計5日(所定労働日)以上の介護休業を取得

●職場復帰時
・介護休業終了後にその上司または人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録
・対象労働者を原則として原職等に復帰させ、支給申請日まで3カ月以上継続雇用

●その他の事前準備として
・就業規則への制度明記
・管理職向けの両立支援研修
・社員向けガイドブックや相談窓口の設置
・制度利用の具体的なフロー作成

■ 社労士としてのサポート

「助成金の手続きが複雑でわからない」「そもそもどこから手を付けていいかわからない」
といった声を多く耳にします。

さくらい社労士FP事務所が制度整備から助成金申請、社員対応のサポートまで一括でお手伝いできます。
貴社の“いざ”という時の備えに、まずはご相談ください。

大事な社員を守ることは、企業の未来を守ることにもつながります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次